【技術×マインド】GAの計測漏れ対応:開発チームが確認すべき盲点と信頼を得るクライアント対応鉄則
Meg
Meg
2026-06-11
Googleアナリティクス(GA)でデータが計測されていない、という問い合わせに直面した際の対処法を徹底解説。単なるコードの問題ではなく、「独自ログイン仕様」「BigQueryの抽出ロジック」など、技術的な盲点と、チームの自責から脱却し「解決策提示」に徹するプロフェッショナルなクライアント対応マインドセットを提供します。

システム開発や運用保守において、クライアントから「ユーザーの特定の行動(動画視聴やボタンクリックなど)のカウントが取れていない気がする、確認してほしい」という問い合わせをもらうことは珍しくありません。

そんな時、焦ってチーム内で犯人探しを始めたり、クライアントの勢いに飲まれてしまっては損です。

今回は、そんなトラブルに直面した際に役立つ**「技術的な裏側の仕組み(GA4〜データ基盤の罠)」と、「チームを自責から守り、円滑に解決へ導くクライアント対応のマインド」**について解説します。


🛠 技術編:アナリティクスで「カウントされない」時に疑うべき3つの罠

「コードは入っているはずなのに、なぜかクライアント側のデータ集計画面に数字が反映されない」という場合、GA(Googleアナリティクス)単体の問題ではなく、ログイン仕様やデータ転送基盤(BigQueryなど)の連携ルールに原因があることが多いです。

1. 独自ログイン仕様による「ユーザーID(User ID)」の手動設定漏れ

一般的なシステムで「Googleアカウントでログイン」といったGoogle提供の認証基盤をそのまま使っていれば、GA側が自動的にユーザーIDを識別・紐づけてくれます 。 しかし、システム独自のログイン機能や、外部の特殊な認証システムを使っている場合、GAは自動でユーザーを識別できません 。この場合、ソースコード内で手動で「このアクセスは、ユーザーID:XXXXです」というセッティング(setUserId などの処理)を明示的に記述する必要があります 。これがないと、すべてのログが「匿名の誰か」として処理されてしまいます。

2. データ集計基盤(BigQueryなど)側の「IDなしレコード排除」のルール

GAで収集したデータを、さらに高度に分析するために「BigQuery」などのデータウェアハウスへ転送して集計しているケースはよくあります 。 ここで盲点となるのが、クライアント側が構築したデータ基盤のクエリ(抽出条件)の仕様です 。もしそのデータ基盤が「ユーザーIDが紐づいていないレコードは、分析対象から排除する(集計に入れない)」という特殊なロジックになっていた場合、大変なことが起きます 。 システム側で手動のID設定が漏れていると、GA上にはイベント(動画視聴など)のログ自体は飛んでいても、クライアントが見る最終的なデータ集計画面からは「すべて消し去られてしまう」ため、「カウントがゼロになっている」という現象が発生します 。

3. 「カスタムイベント」の定義がクライアント側で未確定

「動画を視聴した」という行動を計測するには、多くの場合デフォルトの機能ではなく、独自のカスタムイベントを定義して実装します 。 「データをとりたい」という要望に対して、「どういう条件(何秒再生したら、どのボタンを押したら)でカウントするか、イベントを定義してください」とクライアント側にボールを投げたものの、先方が「検討中」のまま止まっているケースがあります 。この定義が確定し、実装に落とし込まれない限り、当然データは集計されません 。


🤝 マインド編:不穏な問い合わせが来たときの「チームの教科書」

技術的な原因がどこにあるにせよ、問い合わせが来た直後の「チームの動き方」と「クライアントへの対応」で、その後のプロジェクトの風通しが大きく変わります。

1. 強い心を持ち、まず客観的事実(ソースコード)を確認する

「不具合かもしれない」と言われると、特に真面目なエンジニアほど「自分の実装が漏れていたかも…」と自分を責めてしまいがちです 。 しかし、まずは落ち着いて客観的事実を確認しましょう 。最初にやるべきは、「ベースとなるアナリティクスのコード(Firebase SDKやGoogleタグマネージャーなど)が正しく組み込まれているか」をソースコードの最上部から愚直にチェックすることです 。ベースが入っているなら、チームとして最低限の仕事はできています 。セーフのラインを確認して、チームの心理的安全性を確保しましょう 。

2. 「誰のせいか」ではなく「どう解消するか」に全振りする

原因を調査する上で、「誰が当時のコードを書いたか」「誰の指示漏れか」をチーム内で責め合うのは全く意味がありません 。これから徐々に引き継ぎを行ったり、担当者が変わっていくフェーズであればなおさらです 。 「問題があったとしても、誰のせいでもない」という前提をチーム内で握り 、自責の念を自ら切り替えて 、客観的な「解消方法」と「クライアントへの対応方法」の策定に時間を使うべきです 。

3. 「言われてないからやらない」を超えた大人の対応力

調査の結果、「クライアント側からの指示がなかったこと(要件定義漏れ)」や「先方のデータ基盤の特殊な仕様」が原因だと分かったとします 。 その際、「指示がなかったので、うちの責任ではありません」と突き放すのは簡単ですが、プロとしてはもう一歩先へ進みたいものです 。

「急な要件変更やタイトなスケジュールの調整の中で、ここ(ユーザーID連携など)に対する配慮や事前のすり合わせが不足していました。申し訳ありません。原因が特定できたので、後から追加でこの設定を実装しましょう」

このように、相手を責めずに非をスマートに受け止め、即座に対処法を提示することで、ピンチを逆に「信頼獲得のチャンス」に変えることができます 。


💡 まとめ:オーケストレーションを意識する

ツールやシステムを単体で動かすのは簡単ですが、クライアント独自の仕様、複数の分析ツール、そしてデータ基盤が絡み合うと、一筋縄ではいかなくなります 。

開発チームに求められるのは、単にコードを書くだけでなく、これらの複雑な要素を調和させる「オーケストレーション(指揮)」の能力です。

トラブルが起きたときこそ、強い心を持ってコードと向き合い、チームで助け合いながら、クライアントに寄り添った解決策を提示していきましょう!