一言でいうと、「誰が」「どのGoogle Cloudのサービス(リソース)に対して」「何をしていいか」を設定するための仕組みです。 IAMは Identity and Access Management の略です。 日本語では「IDとアクセス管理」や「アイデンティティとアクセス管理」と訳されます。
会社のオフィスセキュリティに例えると分かりやすいかもしれません。
プリンシパル
と呼ばれます)リソース
。VMインスタンスやストレージなど)ロール
と呼ばれます)IAMは、この「誰が」「どこに」「何をできる」というルール(IAMポリシー
と呼ばれます)をクラウド上で細かく設定し、管理するためのサービスです。
IAMが重要な最大の理由はセキュリティです。もしIAMがなければ、プロジェクトに参加している人全員が何でもできてしまいます。例えば、新人のエンジニアが間違って本番環境のデータベースを消してしまったり、悪意のある人が情報を盗み出したりするリスクが高まります。
そこでIAMを使い、「最小権限の原則」 という考え方で権限を管理します。これは、「その人が仕事をする上で、本当に必要な最低限の権限だけを与える」というセキュリティの基本ルールです。
例えば、
このように役割に応じて権限を細かく設定することで、操作ミスや不正アクセスのリスクを大幅に減らし、クラウド環境を安全に保つことができるのです。
Google CloudのIAMでは、主に以下の3つの要素を組み合わせて権限を管理します。
プリンシパル (Principal) - 誰が
xxx@gmail.com
のような個人のアカウント。developers@example.com
)。ロール (Role) - 何ができる
オーナー
、編集者
、閲覧者
といった昔からある強力なロール。便利ですが権限が広すぎるため、本番環境での利用は推奨されません。roles/compute.networkAdmin
)」のように、サービスごと・用途ごとにGoogleが予め用意している細かいロール。通常はこれを使います。リソース (Resource) - 何に対して
これらの要素を組み合わせて、「プリンシパルAは、リソースBに対して、ロールCの権限を持つ」という形で設定するのがIAMの基本です。
Gemini CLIを使うにあたりロール名が分からなかった。 「Gemini for Google Cloud」と入れることで権限が付与された。(2025年10月時点)
IAMのロールには、システムが内部で識別するための「ロールID」と、人間がコンソール画面などで見て分かりやすい「表示名(タイトル)」の2つがあります。
roles/cloudaicompanion.user
Gemini for Google Cloud
この対応関係は、Google Cloudが公開している以下のドキュメントページで確認できます。
ソース(情報源):
Google Cloud 公式ドキュメント: Gemini の IAM ロールと権限
roles/cloudaicompanion.user
の役割と、表示名が Gemini for Google Cloud
であることが明記されています。Google Cloud 公式ドキュメント: IAM 事前定義ロールの表
roles/cloudaicompanion.user
を探すと、そのタイトルが Gemini for Google Cloud
であることを確認できます。したがって、Google CloudコンソールのIAM画面で「Gemini for Google Cloud」と入力してロールを検索できるのは、GoogleがこのロールIDに対してその表示名を公式に割り当てているためです。
2025年10月現在、Google Cloudコンソール上での表示名は「Gemini for Google Cloud ユーザー」に更新されています。
以前は「Cloud AI Companion ユーザー」という表示名でしたが、Googleの製品ブランド名が「Duet AI」から「Gemini」へと変更されたことに伴い、IAMロールの表示名も更新されました。
roles/cloudaicompanion.user
Gemini for Google Cloud ユーザー
(旧: Cloud AI Companion ユーザー)Gemini for Google Cloudというロールを割り当てることで何ができる?
「Gemini for Google Cloud ユーザー」ロールを割り当てると、Google Cloudの様々なサービス上で**AIアシスタントとしてのGeminiを「利用する」**ことができるようになります。
具体的には、以下のような場所でGeminiが使えるようになります。
Google Cloud コンソールでの利用
Cloud Shell エディタでのコードアシスト (Gemini Code Assist)
IDE(VS Codeなど)でのコードアシスト
Gemini CLI (gemini
コマンド) の利用
このロールはあくまで**「ユーザー」**としての権限です。そのため、以下のような管理系の操作はできません。
一言で言うと、**「Google Cloudの色々な場所で、AIアシスタント(Gemini)を呼び出して助けてもらうための許可証」**がこのロールの役割です。開発や運用の生産性を向上させるための基本的な権限と言えます。
参照元: Google Cloud IAMドキュメント: Gemini for Google Cloud API のロールと権限