BigQuery SQL入門:知らないと怖いLIMIT句の重要性
大平 恵美
大平 恵美
2025-07-24
本記事では、BigQueryを使い始めた方向けに、基本的なSQLクエリの読み方をサンプル付きで解説します。特に、意図せぬ高額課金を防ぐために必須の`LIMIT`句の重要性と、`OFFSET`句を組み合わせた効率的なデータ取得方法(ページネーション)まで、分かりやすくご紹介します。

BigQueryのSQLコードが何をしているか、初学者向けに分かりやすく解説します。

このSQLクエリは、**「ある特定のデータ保管場所から、指定した2つの条件に合うデータを絞り込み、日付順に並べ替えて、最大1000件まで表示する」**という命令です。

各部分の解説

SQLは、大きく分けて「何を取り出すか(SELECT)」「どこから取り出すか(FROM)」「どんな条件で絞り込むか(WHERE)」「どの順番に並べるか(ORDER BY)」といった部分で構成されています。


SELECT句:表示したい列を選ぶ

SELECT
  msg_end_no,
  subject,
  end_date,
  type_master,
  type,
  item,
  total_score,

ここでは、データの中から表示したい列(カラム)を指定しています。msg_end_nosubjectなど、7つの列のデータを表示するように命令しています。


FROM句:データの場所を指定する

FROM
  `l-aaaaa.bbbbb.ccccccc`

FROMは、どのテーブル(データの保管場所)からデータを取り出すかを指定します。ここでは、l-aaaaa.bbbbb.cccccccという名前のテーブルが対象です。


WHERE句:表示するデータを絞り込む

WHERE
  subject = 'c816c3c0-a192-11ef-92bb-xxxxxx'
AND
  item = 'キッチン'

WHEREは、表示するデータに条件をつけ、絞り込むための部分です。

  • subject列が 'c816c3c0-a192-11ef-92bb-xxxxxx' である
  • item列が 'キッチン' である

ANDで繋がれているので、この2つの条件を両方とも満たすデータだけが選ばれます。表示されたデータを見ると、itemがすべて「キッチン」になっているのが分かりますね。


ORDER BY句:データを並べ替える

ORDER BY end_date

ORDER BYは、取り出したデータを指定した列を基準に並べ替える命令です。ここではend_date(終了日)を指定しているので、日付が古い順にデータが並べ替えられます。


LIMIT句:表示する件数を制限する

LIMIT
  1000

LIMITは、表示するデータの最大件数を指定します。条件に合うデータがたとえ1万件あっても、最初の1000件までしか表示しません。

まとめ

このSQLを日本語に翻訳すると、次のようになります。

l-aaaaa.bbbbb.ccccccc というデータ保管場所から、 subjectが'c816c3c0-...'で、かつ itemが'キッチン'のデータを探して、 end_date(終了日)が古い順に並べ替えて、 ③ 最初の1000件を、指定した7つの列(msg_end_nosubjectなど)で表示してください。

SQLは、このようにデータベースに「何が欲しいか」を伝えるための言語です。一つ一つの命令の意味を理解すると、様々なデータを自由に取り出せるようになりますよ。


BigQueryにおけるLIMIT句の重要性

LIMIT句は、クエリが返す結果の行数を制限する機能です。BigQueryは検索したデータ量に応じて課金されるため、このLIMIT句の利用は非常に重要です。

💸 高額課金を防ぐ「命綱」

BigQueryでLIMITを付けずに巨大なテーブルを検索すると、意図せず大量のデータを処理してしまい、数万円、場合によっては100万円といった高額な料金が瞬時に発生する危険性があります。

予期せぬ高額請求を避けるため、クエリを試す段階ではLIMIT句を必ず付けるようにしましょう。

🚀 開発やデータ確認の効率化

クエリの動作確認やデータの構造をざっと見たい時に、全データを取得する必要はありません。LIMIT 10のように少数の行に制限することで、素早く結果を確認でき、開発効率が上がります。


LIMIT句 + OFFSET句でページ送り機能を実装

OFFSET句は、結果の先頭から指定した行数をスキップする機能です。LIMIT句と組み合わせることで、Webサイトなどで見られる**「ページネーション(ページ送り機能)」**を実装できます。

例えば、1ページあたり10件のデータを表示する場合、以下のように指定します。

  • 1ページ目: LIMIT 10 OFFSET 0 → 最初の10件を表示 (0件スキップ)
  • 2ページ目: LIMIT 10 OFFSET 10 → 次の10件を表示 (最初の10件をスキップ)
  • 3ページ目: LIMIT 10 OFFSET 20 → さらに次の10件を表示 (最初の20件をスキップ)

このようにOFFSETの値を変えることで、データを少しずつ順番に取得できます。

これにより、膨大なデータの中から、コストを抑えつつ効率的に目的の情報を探していくことができるのです。