SvelteKitにおけるSSRとCSRの違いとデータハンドリングのポイント
大平 恵美
大平 恵美
2025-02-19
本記事では、SvelteKitのSSR(サーバーサイドレンダリング)とCSR(クライアントサイドレンダリング)の違いを解説し、それぞれのメリット・デメリットを比較します。さらに、SSRのセキュリティ上の利点や、SvelteKitでのデータ処理の方法について詳しく紹介。適切なレンダリング方式を選択し、効率的なWeb開発を目指しましょう。

SvelteKitにおけるSSR(Server-Side Rendering)とデータハンドリング

概要

このドキュメントでは、SvelteKitにおけるサーバーサイドレンダリング(SSR)とデータの受け渡し方法について解説します。特に、以下のポイントに重点を置きます。

  • SSRの基本概念とクライアント・サーバーの役割分担
  • URLパラメータの安全な取り扱い
  • SvelteKitのファイル構造とデータフロー
  • SSRのセキュリティ上の利点

1. SSR(Server-Side Rendering)とは?

1.1 SSRの基本概念

SSRは、ブラウザではなくサーバーでページを生成し、その結果をクライアントに送信する仕組みです。

従来のシステム(CSR: Client-Side Rendering)との違い

SSR(サーバーサイドレンダリング) CSR(クライアントサイドレンダリング)
処理場所 サーバー上 ブラウザ(クライアント側)
ページの読み込み速度 初回表示が速い 初回表示が遅くなることがある
SEO(検索エンジン最適化) 検索エンジンに最適 JavaScript依存のため不利
セキュリティ サーバー側で処理するため安全 クライアント側で処理するためリスクあり

SSRのメリット

  • セキュリティの向上: 機密データをクライアント側で処理せず、サーバーで処理することで安全性が高まる。
  • 初回ロードの高速化: クライアント側でJavaScriptを大量に実行する必要がないため、初回ロードが速い。
  • SEO対策: 検索エンジンがページの内容を認識しやすくなる。

SSRの仕組み

  1. クライアントがページをリクエスト
  2. サーバーがリクエストを受け、HTMLを生成
  3. 生成されたHTMLをクライアントに返す
  4. クライアント側で必要なJavaScriptを適用し、インタラクティブなページにする

🌟 SSR(サーバーサイドレンダリング)とCSR(クライアントサイドレンダリング)の違いを日常生活の例で解説 🌟

💡 例: レストランの食事提供方式

レストランで食事をする際に、「フルサービスのレストラン(SSR)」「セルフサービスのビュッフェ(CSR)」 の違いを考えてみましょう。


🍽️ SSR(サーバーサイドレンダリング) = フルサービスのレストラン

🔹 特徴

  • 注文をすると、シェフ(サーバー)が料理を全部作ってから、ウェイターがテーブルに提供する。
  • お客さん(クライアント)は座って待つだけ。
  • 提供された料理はすぐに食べられる。

🔹 メリット

初回表示が速い → ウェイターが料理を全て運んでくれるので、一度受け取ればすぐ食べられる。
検索エンジン(SEO)に強い → 料理が完成された状態で提供されるため、どんな料理か一目で分かる。
セキュリティが高い → キッチン(サーバー)で料理を作るので、お客さんはレシピ(コードの処理)を知ることができない。

🔹 デメリット

サーバーの負荷が高い → 料理を作る時間がかかり、たくさんの注文があると遅くなる。
ページ遷移のたびに再読み込みが発生する → 新しい料理(ページ)を頼むたびに、一から作り直す必要がある。


🥗 CSR(クライアントサイドレンダリング) = セルフサービスのビュッフェ

🔹 特徴

  • お客さん(クライアント)が自分で料理を取りに行き、自分で準備をする。
  • 最初に食器や基本的なもの(JavaScriptのフレームワーク)が配られる。
  • 必要な料理(データ)は、各テーブルで選んで取る(APIリクエスト)。

🔹 メリット

サーバーの負担が少ない → シェフ(サーバー)は基本セット(HTML)を渡すだけで、お客さんが好きなように料理(データ)を取れる。
ページ遷移がスムーズ → 一度食器(基本コード)を受け取れば、後は自由に動けるので、待ち時間が少ない。
動的なコンテンツに向いている → 例えば、SNSのようにリアルタイムでデータが変わる場合は便利。

🔹 デメリット

初回表示が遅い → お客さんが自分で料理を取りに行くため、最初に準備が必要(JavaScriptをダウンロード)。
SEOに弱い → 料理(コンテンツ)が完成する前に検索エンジンが見に来ると、空っぽに見えてしまう。
セキュリティリスクがある → 料理のレシピ(コード)がクライアントに公開されるため、不正アクセスのリスクが高い。


🔍 SSR vs CSR 比較表

SSR(サーバーサイドレンダリング) CSR(クライアントサイドレンダリング)
フルサービスのレストラン セルフサービスのビュッフェ
処理の場所 サーバー側 クライアント側
初回表示の速さ 速い(料理が全て提供される) 遅い(食器の準備が必要)
ページ遷移の快適さ 遅い(毎回新しく料理を作る) 速い(好きなタイミングで料理を取れる)
SEO(検索エンジン対策) 強い(料理が完成した状態で提供) 弱い(料理が準備中だと見えない)
セキュリティ 高い(レシピはシェフのみが知っている) 低い(レシピが公開される)
適した用途 ニュースサイト・ブログ・企業サイト SNS・Webアプリ・ダッシュボード

🎯 どちらを使うべき?

利用ケース SSR(サーバーサイドレンダリング) CSR(クライアントサイドレンダリング)
SEOが重要なサイト ✅ 適している ❌ 不向き
初回ロードを速くしたい ✅ 適している ❌ 遅くなる
動的データを扱いたい(リアルタイム更新) ❌ 不向き ✅ 適している
サーバーの負担を減らしたい ❌ 負担が大きい ✅ 負担が小さい
SPA(シングルページアプリ)を作りたい ❌ 不向き ✅ 適している

💡 まとめ

  • SSR = フルサービスレストラン 🍽️

    • シェフ(サーバー)が料理を作り、ウェイター(ページ)がすべて提供する。
    • SEOに強く、初回表示が速いが、ページ遷移が遅くなる。
  • CSR = セルフサービスのビュッフェ 🥗

    • お客さん(クライアント)が必要な料理を自分で取りに行く。
    • ページ遷移は速いが、初回表示が遅くなり、SEOが弱い。

🔹 どちらを選ぶかは、サイトの目的や要件によって決まる! 🚀


2. URLパラメータの扱いとセキュリティ

2.1 URLパラメータの危険性

SvelteKitでは、URLパラメータを +page.server.js で処理できます。しかし、GETリクエストでのパラメータの扱いには注意が必要です。

URLパラメータの問題点

  • URLに機密情報を含めると危険(例: ?user_id=1234 → 他人のIDを入力すると情報が見えてしまう)
  • ブラウザで簡単に改ざんできる

安全なパラメータの扱い方

  • 機密情報を含めない(認証はCookieやセッションを使う)
  • サーバー側でバリデーションを行う
  • GETではなくPOSTを使用する(可能ならば)

SvelteKitでの安全なパラメータの取得方法(+page.server.js

import { error } from '@sveltejs/kit';

export function load({ url }) {
    const userId = url.searchParams.get('user_id');
    
    if (!userId || isNaN(Number(userId))) {
        throw error(400, '不正なユーザーID');
    }
    
    return { userId };
}

3. SSRのセキュリティ上の利点

3.1 クライアントサイドでのロジック処理を減らし、セキュリティを向上

具体的な利点

  • 機密情報の保護: URLに機密情報を直接含めず、データをサーバー側で処理。
  • ロジックの隠蔽: データベースへのアクセスなどの処理をクライアントから隠すことで、攻撃のリスクを低減。
  • データのみを送信: サーバーで処理したデータをクライアントに送ることで、処理ロジックをクライアントに公開しない。
  • コードの分離: page.server.js のコードはクライアントには送信されないため、安全性が高まる。
  • 安全なURL設計: GETリクエストだけでなく、POSTリクエストを適切に活用する。

4. まとめと今後のアクション

4.1 重要ポイント

SSRの活用でセキュリティとパフォーマンスを向上URLパラメータは安全に処理(機密情報を含めない・バリデーションを行う)SvelteKitのファイル構造を理解し、適切にデータを処理するクライアントサイドでのロジックを減らし、サーバーサイドで処理することでセキュリティを強化

4.2 次に試すこと

  • +page.server.js を使ったデータ取得と表示の練習
  • POSTリクエストを使ったデータ送信の実装
  • 可変パラメータ([slug])を利用した動的ルートの作成

このドキュメントを活用しながら、SvelteKitのSSRとデータハンドリングの理解を深めていきましょう! 🚀